産業医通信 2025年6月号
- 2025年6月5日
毎月朋愛会より旬の情報をお届けいたします
Contents
●口腔ケアの重要性
●伝染性紅斑(りんご病)
●6月は「牛乳月間」です
口腔ケアの重要性
口腔ケアは、歯周病や齲歯(うし)の予防に大切であることは周知のことと思います。日本歯科医師会で8020運動が提唱されて久しいですが、自分の歯を維持することで食事をしっかりと楽しみ、健康寿命を延ばすことができます。
口腔内の清潔を保つことは全身の病気にも関わっています。不衛生な口腔内環境では誤嚥性肺炎のリスクが高くなり、歯周病菌が組織の間を通って心臓周囲に至るケースもあります。また、糖尿病の方では歯を支える骨を溶かして悪化すると同時に、歯周病の炎症で血糖コントロールも悪化します。
歯周病予防は日々のケアももちろんですが、自分では分からない、見えない部分も多いので、定期的な歯科検診を受けることも重要です。
宮田Dr.
伝染性紅斑(りんご病)
伝染性紅斑(りんご病)は、小児を中心に流行するヒトパルボウイルスB19による感染症です。年始から7月上旬頃にかけて増加する季節性を示すことが多いです。
令和7年4月30日に公表された4月14日から20日までの1週間における定点医療機関からの報告数は過去10年間の最高値まで増加しています。
症状としては、約10~20日の潜伏期間の後、かぜ症状などがみられ、その後両頬に境界鮮明な赤い発疹が現れます。続いて、体や手足に網目状やレース状の発疹が広がります。成人では関節痛や頭痛などの症状が出ることもあります。特別な治療法はなく、対症療法となります。伝染性紅斑を予防するワクチンや薬はありません。感染経路は飛沫感染・接触感染です。かぜ症状のある人は、こまめな手洗いや「咳エチケット」を心がけることが大切です。発疹が出ている時期にはほとんど感染力がありません。
妊婦が感染した場合、胎児水腫や流産のリスクとなる可能性があります。伝染性紅斑を疑う症状がある場合は、医療機関に相談しましょう。
また、感染しても症状がない場合もあるため、周囲に伝染性紅斑の人がいる場合は、妊婦健診の際に医師に伝えてください。
鹿島Dr.
6月は「牛乳月間」です
皆さんの冷蔵庫には「牛乳」が入っていますか?日本では、6月は「牛乳月間」と定められています。
牛乳はカルシウムが豊富で、たんぱく質・ビタミンなど様々な栄養を含みます。カルシウムは、骨・歯の形成・筋肉の収縮・神経の安定化などに役立つ栄養素です。牛乳はカルシウムの吸収率が最も高い食品で、小魚や野菜に比べて、より多くのカルシウムを効率よく摂ることができます。
体にとって必要な栄養素をバランスよく含んでいる牛乳ですが、牛乳や牛乳以外の乳製品が、原料や添加される成分によって表記に違いがあるのをご存じですか?今回はその中の3種類の乳製品についてご紹介します。
「牛乳(成分無調整牛乳)」・・・生乳100%
「低脂肪牛乳(成分調整牛乳)」・・・生乳から乳脂肪分を除去
「加工乳」・・・生乳+乳製品(バターや生クリームなど)
牛乳の中でも低脂肪牛乳は、低エネルギーを求める方におすすめです。一方で、加工乳は牛乳に比べて脂肪分が多い傾向があり、その分エネルギーも高い商品が多いため、注意が必要です。今後、乳製品を手に取る際は“種類別名称”の表示を確認し、目的に合わせて商品を選んでみてはいかがでしょうか。
選び方ひとつで、毎日の1杯が健康への近道になるかもしれません。
管理栄養士
産業医通信2025-6-1