産業医通信 2025年9月号
- 2025年9月3日
毎月朋愛会より旬の情報をお届けいたします
Contents
●白内障
●復職後のフォローアップについて
●痛風とお酒・食事 ―「ビール以外なら安心」は誤解
白内障
私たちが目で見ている像は、角膜・水晶体を通った光が網膜面で結像したものです。その水晶体というレンズの役割を果たす組織が混濁する病気を、白内障と言います。
原因として多いのが加齢によるもので、早い人では40代から、80代では100%の人で白内障を発症しています。その他の原因として、先天的なもの、外傷、アトピーによるもの、薬剤、放射線によるもの、そして他の目の病気(炎症)に続いて起こるものなどがあります。
代表的な症状には、見えにくい、かすんで見える、二重・三重に見える、眼鏡やコンタクトレンズの度数が変わる、まぶしい、目が疲れる、頭痛がするなどがあります。進行すれば視力が低下し、眼鏡でも矯正できなくなります。
ごく初期の白内障は点眼薬で進行を遅らせることができる場合もありますが、濁った水晶体を元に戻すことはできません。
進行した白内障に対しては、濁った水晶体を手術で取り除き、眼内レンズを挿入する方法が一般的に行われます。
最近の手術法は、超音波乳化吸引法という方法が一般的です。3mmくらいの傷から超音波の力で水晶体の濁った中身だけを吸い出し、残った薄い膜(水晶体嚢)の中に水晶体の屈折力を補正するための眼内レンズが挿入されます。
鹿島 Dr.
復職後のフォローアップについて
通常、心身の不調のため休職された方は、完全に元の状態に回復してから復帰するわけではありません。職場に復帰する際には、疾患ごとに必要な配慮、個人の事情をしっかり把握し、受け入れる側の企業の体制を調整することが必要になります。
しかしながら、企業側の合理的配慮には限界があるため、担当者が難渋する、復職者の不調が再燃するといったことも多いかと思います。
そこで、企業の担当者、産業医、上席者や同僚からの情報収集を行い、企業ができること、復職者のできることを調整することが必要です。
その後、調整がうまくいっているか、同僚や上席者に過度な負担になっていないか、復職者が再燃なく経過できているかなどのフォローアップをしていくことになります。
大切なことは、誰か一人に負荷を強いることなく復職者を支えていく体制づくりです。
宮田 Dr.
痛風とお酒・食事 ― 「ビール以外なら安心」は誤解
痛風は、尿酸が関節にたまって強い痛みを起こす病気です。予防にはお酒と食事の工夫が欠かせません。お酒は種類を問わずアルコール自体が尿酸の排泄を妨げ、体内での産生も増やします。よく「ビール以外なら大丈夫」「プリン体ゼロなら安心」と言われますが、これは誤解です。蒸留酒は比較的影響が少ないとされますが、決して安全ではありません。週に2~3日は休肝日をつくり、飲む時は水やお茶をしっかりとって脱水を防ぎましょう。
食事面では、レバー・白子・干物・魚卵・赤身魚などプリン体を多く含む食品や、肉や魚の食べすぎに注意が必要です。甘い清涼飲料や果糖を多く含む飲み物も尿酸値を上げます。一方で、野菜や海藻、全粒穀物を増やすこと、体重を適正に保つことは予防に有効です。
さらに近年では、尿酸値が高いことが心臓や脳の血管の病気と関係する可能性が報告されています。特に高血圧がある人では、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まるとされており、血圧だけでなく尿酸値の管理も重要です。
健診で尿酸値が高ければ、発作がなくても生活改善とあわせて早めに医師に相談しましょう。
山本 Dr.
産業医通信2025-9