産業医通信 2025年11月号
- 2025年11月5日
毎月朋愛会より旬の情報をお届けいたします
Contents
●リモートワークにおける健康問題
●“眠り”を整えるというセルフケア
●眼精疲労について
リモートワークにおける健康問題
新型コロナウイルス感染症の流行を経て働き方が多様化し、その一環として、昨今はご自宅などでリモートワークに従事される方も多いかと存じます。一方で、一般的にオフィスなど比較的安全衛生の配慮が整った環境以外で働くことで、様々な問題も起こりやすくなります。
代表的なものとしては、やはりメンタルヘルスに関する問題が多く、業務について気軽に相談できる相手がいなかったり、同僚が周囲にいないことで孤独感を感じやすく、不安やストレスを抱えやすいと言われています。また、そのストレスによる様子の変化に周囲が気づきにくいという問題もあります。さらに、睡眠・食生活・運動習慣なども乱れやすく、生活習慣病などのリスクが高まる環境ともいえます。定期的にオンライン面談を実施することで、業務や体調について相談しやすい環境を整え、労働時間の管理を徹底することで、上記の問題を予防しやすくなります。また、リモートワークに従事される方も、睡眠・食事・運動習慣の管理にご注意いただきますようお願い申し上げます。
古谷 Dr.
“眠り”を整えるというセルフケア
眠れない、夜中に何度も目が覚める――そんな状態が続くと、心身の回復力が落ち、気分の落ち込みや集中力の低下につながります。
睡眠の乱れは、うつ病や適応障害などの初期サインとして現れることもあり、「そのうち治るだろう」と放置しないことが大切です。
睡眠では「リズム」と「時間」の両方が重要です。毎日ほぼ同じ時間に寝起きし、6~8時間程度の十分な睡眠時間を確保することで、体内時計が整い心身が自然に回復します。長時間の昼寝や夜更かしは、体を時差ぼけのように乱れさせ、だるさや気分の不調を招きます。朝にしっかり朝食をとることも、体のリズムを整える助けになります。また、夕方以降のカフェイン摂取は、睡眠時間が短くなるなどの悪影響が出るため控えましょう。1日のカフェイン摂取量も取りすぎないよう注意が必要です。
それでも眠れない状態が2週間以上続く場合は、精神科・心療内科へ早めに相談を。近年は安全性が高く、依存性の少ない睡眠薬も登場しており、短期間の使用で睡眠リズムを立て直せる場合があります。睡眠を整えることは、心と体を守る第一歩です。
山本 Dr.
眼精疲労について
近年、パソコンやスマートフォンを長時間使用する人が増え、目が重い、かすむ、頭痛がするといった
症状を訴える人が目立ちます。これは「眼精疲労」と呼ばれる状態で、目を使う作業を続けることにより目の痛みやかすみ、まぶしさ、充血などの症状のほか、頭痛・肩こり・吐き気など全身の不調を伴う
こともあります。単なる疲れ目と異なり、休息や睡眠をとっても十分に回復しないのが特徴です。
原因は様々で、度の合わない眼鏡を使用していたり、老眼の初期に無理な近距離作業を行って発症することが多くあります。また緑内障・白内障・ドライアイなどの目の病気が背景にある場合もあります。
さらに、長時間の画面作業による目の酷使や職場の照明環境、姿勢の悪さ、精神的ストレスなども症状を悪化させる要因となります。
対策としては、まず原因を特定し、必要に応じて眼鏡の調整や眼科受診を行うことが重要です。作業中は1時間に1回は休憩をとり、遠くを見てピントをリセットする習慣をつけましょう。眼精疲労に特効薬はありませんが、ビタミンを含む点眼薬や内服薬が有効なこともあります。
目の不調を軽視せず、早めのケアで快適な視界と集中力を守りましょう。
赤澤 Dr.
産業医通信2025-11