産業医通信 2025年7月号

  • 2025年7月4日

毎月朋愛会より旬の情報をお届けいたします

Contents

●紫外線による健康障害
●長引く咳に注意
●肝臓病について

 

紫外線による健康障害

太陽の光には目に見える可視光線の他に、目に見えない赤外線や紫外線が含まれています。
紫外線の波長は100~400㎚程度あり、波長によりさらに長いものからA・B・Cに細かく分類されます。そのような分類のための定義は幾つかありますが、気象庁では波長280~315㎚に属するものをB領域紫外線として定義しています。なお、波長の短いC領域紫外線は太陽から地表まで到達しませんが、A領域紫外線とB領域紫外線は地表まで到達します。
近年オゾン層の破壊による影響で、人体に有害なB領域紫外線の到達が増加しており、南半球の国々において皮膚がんの罹患数が問題となっています。紫外線による健康障害には、日焼けなど皮膚症状がよく知られていますが、角膜炎や白内障など目に関連した症状もあります。人体に悪影響を与える有害紫外線量は、天気予報の中で紫外線指数として発表されています。
中程度レベル以上の場合には、日焼け止めの外用、UVカット作用のあるサングラスを着用するなど適切な紫外線対策をお勧めします。
また、太陽光以外にアーク溶接作業、紫外線殺菌灯下での作業などでも注意が必要です。
特にアーク溶接作業では、太陽光からの紫外線の数十倍ある場合もあることから、作業者本人のみではなく周囲にいる人にも適切な曝露対策が必要となることがあります。

松 Dr.

長引く咳に注意

咳がなかなか治らない時、風邪が長引いているだけだろうと放置してしまいがちです。しかし、一般に3週間以上続く咳は「遷延性咳嗽(せんえんせいがいそう)」、8週間を超えると「慢性咳嗽」とされ、単なる風邪とは異なる原因が考えられます。例えば咳喘息やアトピー咳嗽、逆流性食道炎、副鼻腔炎、さらには結核や肺癌など、放置すれば重篤化する病気も含まれます。また喫煙者は咳が慢性化しやすく、喫煙そのものが咳の原因や悪化因子となることが知られています。
咳のために仕事に集中できなかったり、夜間の睡眠が妨げられたりすることは、日常生活に大きな支障をきたします。また長引く咳は本人だけでなく、職場内の感染対策の観点からも注意が必要です。咳が続くことで周囲が不安を感じることもあり、集中力や生産性の低下にもつながりかねません。
咳が2~3週間以上続く場合や、市販薬で改善しないときは早めに医療機関を受診しましょう。特に痰がからむ、血が混じる、息苦しいといった症状がある場合は要注意です。
職場では周囲への配慮として、マスクの着用や咳エチケットも大切です。

赤澤Dr.

肝臓病について

「沈黙の臓器」とも呼ばれる肝臓は異変を感じにくいため、病気が進行してから気づくことが少なくありません。特に働き盛りの世代では、生活習慣の乱れが肝臓に負担をかけ、知らないうちに病気が進行してしまうことがあります。
例えば、仕事のストレスを発散するために深夜まで飲酒を続ける習慣があると、健康診断で「脂肪肝」と診断されることがあります。飲酒習慣がない場合でも、外食中心の食生活や運動不足が続くことで脂肪肝になることがあります。
脂肪肝を放置すると肝機能が低下し、健康に大きな影響を及ぼします。また、肝炎や肝硬変へと進行する可能性もあるため、決して軽視できません。
こうした肝臓への負担を減らすためには、まず生活習慣の見直しが大切です。飲酒は適量を守り、週に2日は休肝日を設けることが勧められています。適切な飲酒量の目安は、男性で1日あたり日本酒1合(ビール500ml、ワイン2杯程度)、女性ではその半分程度が目安です。
また、野菜や魚を積極的に取り入れたバランスの良い食事や、適度な運動を習慣化することも効果的です。運動の目安としては、1日30分程度のウォーキングや軽い筋トレを、週3~5回行うことが推奨されています。働く世代にとって、仕事のパフォーマンスを維持するためにも健康は不可欠です。
忙しい日々の中でも肝臓をいたわる生活を心がけ、長く元気に働ける身体をつくりましょう。

額田Dr.

   

産業医通信2025-7

医療法人朋愛会 健診事業部 06-6232-0550 ホームページ