産業医通信 2025年12月号

  • 2025年12月2日

毎月朋愛会より旬の情報をお届けいたします

Contents

●カスタマーハラスメントについて
●マイコプラズマ肺炎について
●年末年始の体重増加に注意!無理なく整えるコツ

カスタマーハラスメントについて

昨今、ハラスメントという言葉をよく耳にすると思います。
不慣れな企業などでは「とにかくハラスメントを訴えた人に謝ればいい」という誤った判断をしてしまい、禍根を残すか問題をより悪化させてしまうケースが散見されます。謝罪の強要もまた重大な人権侵害だからです。ハラスメントは一般に妥当性を欠く要求、社会通念上不相当な手段または態様です。双方の言い分をよく聞き、公平に判断することが人権を守るために不可欠です。
カスタマーハラスメントは法令上、顧客等からの暴行、脅迫、ひどい暴言、不当な要求等の著しい迷惑行為と定義されています。厚生労働省の「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」にも複数の実例が載っていますので、あらかじめどういったものが該当しうるのか整理しておくと、従業員の負担を減らすことができるかと思います。
ハラスメントは扱いの難しい問題です。くれぐれも事なかれ主義の場当たり的な対応をしないように心がけてください。

宮田 Dr.

マイコプラズマ肺炎について

マイコプラズマ肺炎は、「肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)」という細菌に感染することによって起こる呼吸器感染症です。
小児や若い人の肺炎の原因として、比較的多いものの一つです。マイコプラズマ肺炎は1年を通じてみられ、秋冬に増加する傾向があります。
潜伏期間は長く、2~3週間くらいとされています。発熱や全身の倦怠感、頭痛、咳などの症状がみられます。咳は熱が下がった後も長期にわたって(3~4週間)続くのが特徴です。肺炎マイコプラズマに感染した人の多くは気管支炎で済み、軽い症状が続きますが、一部の人は肺炎となったり、重症化したりすることもあります。また、5~10%未満の方で、中耳炎・胸膜炎・心筋炎・髄膜炎などの合併症を併発する症例も報告されています。
基本は、マクロライド系などの抗菌薬で治療されます。マクロライド系抗菌薬が効かない「耐性菌」に感染した場合は、他の抗菌薬で治療します。重症化した場合には、入院して治療が行われます。
飛沫感染・接触感染により感染するといわれています。手洗いを励行し、タオルの共用は避け、「咳エチケット」を守ることを心がけましょう。
また、咳が長引くなどの症状がある時は、医療機関で診察を受けるようにしましょう。

鹿島 Dr.

年末年始の体重増加に注意!無理なく整えるコツ

年末年始は忘年会やお正月などで飲食の機会が増え、つい食事量が多くなりがちです。しかし、食べすぎが続くと胃腸への負担や体重増加につながるため注意が必要です。
例えば、昼にクッキー3~4枚、夜にビール500mlを追加で摂ると約500kcalのオーバーになります。これが1週間続くと3,500kcal、2週間では7,000kcalとなり、体脂肪1kg分のエネルギーに相当します。500kcalを運動で消費するには、体重60kgの人でウォーキング約2時間半が必要となり、現実的には大きな負担です。
「体重を整えるコツ」
 •食べすぎた翌日は野菜をしっかり食べ、栄養バランスを意識した軽めの食事にする
 •散歩や家事などで普段の活動量を維持する
 •体重を毎日チェックし、早めに変化に気づく
 •睡眠をしっかりとる(睡眠不足は、食欲を抑えエネルギー消費を促す「レプチン」が減り、
  食欲を増進する「グレリン」が増えるため、過食につながりやすくなります。)
年末年始も楽しくお過ごしいただき、健やかに新年を迎えましょう!

栄養科

産業医通信2025-12
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