産業医通信 2026年3月号

  • 2026年3月6日

毎月朋愛会より旬の情報をお届けいたします

Contents

●AEDの設置場所を知っていますか
●プレゼンティーズムとは
●貧血について

AEDの設置場所を知っていますか

突然の心停止は、いつ・どこで・誰に起こるか分かりません。年齢や健康状態に関わらず、職場や通勤途中、家庭など身近な場所で起こりえます。
心停止後は1分経過するごとに救命率が7~10%低下するとされ、救急車の到着を待つだけでは救えない命があるのが現実です。
心肺機能停止後、心肺蘇生を実施しなかった場合の1か月後生存率は7.9%、一般市民が心肺蘇生を実施した場合の生存率は15.3%、そのうちAED(自動体外式除細動器)を実施した場合の生存率は53.6%(総務省消防庁『R7年版救急救助の現状』)となっており、その場に居合わせた人の迅速な対応が命をつなぐ鍵となります。
突然倒れた人に対して私たちができることは、まず119番通報です。そして反応がなく「普段どおりの呼吸」がない場合には、直ちに胸骨圧迫を開始し、AEDを使用します。AEDは電源を入れると音声で手順を案内してくれ、医療資格がなくても使用できます。必要がない場合は作動しない安全設計ですので、安心して使用できます。
大切なのは、職場や普段利用する施設のAED設置場所を日頃から確認しておくことです。いざという時に場所が分からなければ貴重な時間を失います。救命講習や訓練への参加も、命を守る力となります。

赤澤 Dr.

プレゼンティーズムとは

体調不良に伴う労働生産性の損失を考える時、なんらかの病気によって会社を休む状況を「アブセンティーズム」といいます。一方、「出勤はしているものの体調が優れず、生産性が低下している状態」のことを「プレゼンティーズム」といいます。
プレゼンティーズムによって目に見えない労働損失が発生しており、日本の研究においても、その額はアブセンティーズムによる損失よりも大きいことが示されています。体調が優れない原因としては、慢性疲労、うつ病、腰痛・頭痛、花粉症をはじめとしたアレルギー症、生活習慣病等が挙げられます。
プレゼンティーズムの背景には様々な健康課題があるため、その職場の課題に応じた対策が重要になります。慢性疲労では長時間労働もその一因になるため、ノー残業デーの設定や年次有給休暇の取得状況の把握など、従業員に休息を与えやすい仕組みを作ることも有用です。メンタル疾患の予防には、ストレスチェックの推進や相談窓口の周知、関連する社内教育が重要です。腰痛・頭痛の予防には、朝礼や休憩時間など決まった時間帯に職場でストレッチを行うことも有用です。
衛生委員会でこのようなことを議題に挙げてみるのも次のアクションに繋がります。

鹿島 Dr.

貧血について

貧血と聞くと、一般には「ふらつく」「注射の時に倒れた」などを思い浮かべるかもしれません。しかしながら、これらは医学的な意味での貧血ではなく、迷走神経反射や起立性低血圧など全く違うものも含んでいます。
医学的な意味での貧血は赤血球の数が少ない、赤血球に含まれるヘモグロビン濃度が低いことを指します。貧血があると十分な酸素を全身に供給できず、疲れやすかったり、脈が弱く早くなったり、ひどい場合は運動時に痛みを伴う筋けいれんが起きるなどの症状が出ます。
貧血の原因は様々ですが、大きく分けると3つになります。過度の出血、生産不足、過剰な破壊です。
過度の出血といえば外傷はもちろんですが、月経困難症や消化管出血が代表的です。生産不足では鉄・ビタミンB12・葉酸などの欠乏や、腎不全によるエリスロポエチンの不足、血液を作る骨髄の病気がよく知られています。過剰な破壊は溶血といいますが、前の2つと比べると珍しいものになります。
赤血球の異常や毒素、ほかの病気により起こります。
血液検査と問診でおおよその診断に至りますが、背景疾患がある場合はさらに精密な検査を要します。原因がさまざまなので治療も大きく異なります。
医療機関で正しく診断してもらうことが大切です。

宮田 Dr.

産業医通信2026-3
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