産業医通信 2026年5月号
- 2026年5月7日
毎月朋愛会より旬の情報をお届けいたします
Contents
●運動は5分でも効果があります
●メンタルヘルス不調の早期発見と対応
●ロコモティブシンドローム
運動は5分でも効果があります
健康のために毎日何十分も運動するのは、なかなか大変に感じるものです。ですが、最新の研究から、特に普段あまり運動をしていない人ほど、少し体を動かすだけでも大きな健康効果が得られることがわかりました。
例えば、ほとんど運動習慣のない人(全体の下位約20%)が、1日にわずか5分、早歩きなどを取り入れるだけで、全死亡の約6%を防げる可能性があると推計されています。さらに、このような習慣が社会全体に広がれば、最大で約10%の死亡を防げる可能性も示されています。
また、運動が苦手な方でも、1日の座っている時間を30分減らすだけで、全死亡の約3%を防ぐ効果が期待できるとされています。
これまでの健康指針では「週150分以上の運動」が目安とされており、ややハードルが高く感じられるものでした。しかし今回の研究から、運動習慣がほとんどない方にとっては、「5分だけ体を動かす」「座っている時間を少し減らす」といった小さな工夫でも、健康にしっかりとした意味があることが示されました。
まずは「5分」からでも十分です。駅まで少し速めに歩いてみる、デスクワークの合間に一度立ち上がる。そうした日常の小さな積み重ねが、将来の健康につながっていきます。
山本 Dr.
メンタルヘルス不調の早期発見と対応
「メンタルヘルス不調者の早期発見と対応」における管理監督者の役割について、詳しく解説していきます。まず、管理監督者が部下の不調に気づくきっかけは、その部下の「変化」に気づくことです。代表的な「変化」の例を以下に列挙します。
●遅刻・早退・欠勤が増えた
●パフォーマンスの低下、ミスが目立つ
●報告・連絡・相談が少なくなった
●身だしなみが悪くなった
●元気がなく、表情が乏しくなった
●口数が減った(または増えた)
●些細なことで腹を立てるようになった
このような変化に気づいた管理監督者は、部下の話を丁寧に聴くように努めます。決して詰問調になることなく、聴き役に徹することが部下の本音を引き出すうえで重要となります。プライバシーに配慮した環境で話を聴くことも重要です。その結果、専門家への相談が必要だと感じたら、産業医等の産業保健スタッフへの相談や、状況によっては外部の専門医への受診を促します。
管理監督者に何の予備知識もない状況では、メンタルヘルス不調者が職場で出た際にその役割を適切に果たすことは難しいかもしれません。このためにも、教育研修の機会に管理監督者の役割や部下とのコミュニケーションのトレーニングを行っておくことも重要です。
鹿島 Dr.
ロコモティブシンドローム
ロコモティブシンドローム(通称:ロコモ)とは、筋肉・骨・関節といった体を動かすための「運動器」が衰え、立つ・歩くといった移動能力が低下した状態を指します。日本語では「運動器症候群」と呼ばれ、進行すると自立した生活が困難になり、将来的に介護が必要になるリスクが非常に高まります。
この状態に陥る主な要因は、加齢による筋力の低下やバランス能力の衰え、さらには骨粗鬆症や変形性膝関節症といった関節の病気です。これらが重なると、階段の上り下りに手すりが必要になったり、家の中でつまずきやすくなったりと、日常生活の些細な動作に支障が出始めます。
予防において最も大切なのは、早い段階から自分の体の変化に気づくことです。片脚立ちで靴下が履きにくくなった、横断歩道を青信号のうちに渡りきれなくなったといったサインは見逃せません。対策として、スクワットや片脚立ちなどの簡単な運動を日々の習慣に取り入れるとともに、骨や筋肉の材料となるタンパク質やカルシウムを意識して摂取することが推奨されます。
若いうちから「一生自分の足で歩く」ための体づくりを意識することが、健康寿命を延ばす鍵となります。
本塚 Dr.
産業医通信2026-5